日本翻訳者協会(JAT)が主催するJAT Projectが11月19日(土)に渋谷で開催されます。久しぶりの現地開催(オンラインなし)の翻訳イベントですね。
私はセッションを1つ担当します。ご都合がつけばぜひお越しください!
開催概要
日時:2022年11月19日(土)9:00(受付開始) 9:30~17:00
場所:渋谷 FORUM 8
参加費(ランチ代込み):
- 10月31日までの早割(JAT会員 12,000円、非会員 15,000円)
- 通常(JAT会員 15,000円、非会員 20,000円)
内容:セミナースケジュール
3トラックで合計12のセッションがあります。
私は15時15分から「QAチェックの自動化とMTの活用」というタイトルで75分のセッションを担当します。
セッション概要
以下は、JAT Projectに掲載したセッション概要です。
ケアレスミスがないか不安になることはありませんか?翻訳チェックを受託したことがありますか?翻訳プロセスに機械翻訳を取り入れて効率アップする方法に興味がありますか?
本セミナーでは、私が開発した翻訳チェックツール「色deチェック」とニューラル機械翻訳の支援ツール「GreenT」を使用した、QAチェックの自動化と機械翻訳の自動修正の事例を紹介します。
色deチェックは、原文ファイルと訳文ファイルから対訳表を自動生成し、英数字記号のチェックや用語集やキーワード集に基づくチェックをします。特にCATツールのQA機能では誤判定になりがちな漢数字や日付の数字を正しく判定できることが強みです。GreenTは、ユーザーが定義する用語や表現でGoogle翻訳やDeepL翻訳を自動修正します。カスタマイズにより、クライアントの好みに合わせた項目をチェックし、クライアント好みの訳文が出力されるようになります。結果、チェックの時間も機械翻訳の修正時間も短縮できます。
みなさんの翻訳プロセスを自動化するヒントになれば幸いです。
Wordで動く翻訳チェックソフト「色deチェック」は公開してから10年が経ちました。翻訳者のためのニューラル機械翻訳支援ツール「GreenT」は、公開から3年半がたちました。いずれのツールもユーザーの方々の声を反映して改良を続け、公開当初には思いもよらなかった便利なツールになりました。
この2つのツール開発で、翻訳者の意思をツールに反映させるためのカスタマイズ性を大切にしています。色deチェックの翻訳チェックでは、どの項目をどのような手段でチェックするのか、翻訳分野や求める精度に応じてユーザーさんが各自で設定できるようになっています。GreenTの機械翻訳でも翻訳方向や翻訳分野に応じてユーザーが独自のカスタマイズを出来るようにしています。ツール全般に言えることですが、与えられた機能を使うだけだとあまりうれしくありません。自分で自分が(お客様が)求める品質になるようにいろいろと調整できたほうが使いやすいと思っています。
ただ、ツールで完璧な判断をしようとしても私の技術力ではどうにもならないこともあるし、開発に時間とコストがかかるので開発をあきらめていることもあります。そのためいずれのツールでも、正しい回答を出すこともあれば、機械的に判定ができない場合には間違いかもしれないことの注意喚起をして人間に判断を仰ぐ場合もあります。
あと、ツールを導入して品質も生産性も下がることがありますが、それは間違った導入をしていたり、ツールの設定が間違っていたりする場合だと思います。ツールは万能ではないという前提に立てば、ツールの利点を活かせる翻訳フローやツールの組み合わせを見つけやすくなると思います。
このセミナーでは、自分が開発した色deチェックとGreenTを例にして開発者目線と翻訳者目線から話をしますが、自動化ツールの導入全般で同じことが言えると考えています。このような自動化ツールにできることとできないことを紹介して、どのように期待してどう活用すれば、時間を短縮して品質を上げられるのかのヒントをお伝えしたいと思います。
機械に過度に期待してもしょうがないですが、機械にできることをわざわざ人間がエネルギー(集中力)と時間をかけてする必要はないと思っています。機械に任せることで生み出したエネルギーと時間を、しっくりする訳文を作るための調べ物や推敲に投入したほうが楽しいと思います。
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