【セミナー報告】2016/09/17(土)-18(日)東京 特許英訳再入門合宿

9月の3連休に東京で特許英訳再入門合宿を開催しました。

ご参加いただきましたみなさま、どうもありがとうございました。

この合宿には、講師に特許翻訳者の時國滋夫氏をお招きして、特許英訳を2日間学びました。

これまで2回の合宿を開催してきた経験を元に、学んだことを消化する時間を設けることと、参加者同士の交流の時間を設けることを重視してスケジュールを組みました。

授業内容

時國先生からは参加者への個別のフィードバックがありました。納得いくまで質問をして対話を続ける方もいました。夜の懇親会や夜中まで続く夜会でも熱心に時國先生と話し込んでいる方もいらっしゃいました。

私は2日目の朝、特許翻訳での調べものに便利なツールを紹介しました。特許翻訳は私が実際に実務経験していることなので、特許翻訳専用に作ったツールの紹介ということで熱が入りました(笑)。

USPTOのデータベースを使って、アメリカの弁護士が書いた特許明細書の表現を検索するという方法を紹介しました。

5年前にこの方法について記事を書いたのですが、再度紹介します。

【翻訳】USPTOの特許DBからネイティブの英語を探す方法

この検索を、Wordから自動化するために右クリックでGoogle!を使うのですが、これも非常に便利です。

交流の仕掛け

交流を深めるための仕掛けとして、お酒の入った夜会では、「スピードネットワーキング」をやってみました。

サブ講師・コーディネーターのエベースト・キャシーさんの提案でやってみたのですが、これがなかなか面白くて、20名を超す人がいたのに全員とお話ができました。

何をしたのかというと、お見合いパーティーでやっているような短時間で次から次へと話すパートナーを変えていくというものです。

同数の男女で対面して並ぶわけではないので、少し変則的なパートナー変更となりましたが、「短時間で自分のことを話し、かつ相手のことを理解する」という制限が濃い会話を引き出したようです。

夜10時ごろから始めたし、お酒も飲んでましたし、後半は私のパートナー変更の合図を完全に無視されたりして(笑)けっこうぐだぐだでしたが、楽しい企画でした。

合宿ならではの企画だったと思います。

参加者の声

参加いただいた方々にアンケートのご協力をいただきました。回答いただいた中で、ご許可をいただいた方々の声を紹介します。

事前に持っていた悩みの一部は解決しましたが、やはりケースバイケースなので、すべて解決という訳にはいきませんでした。

ただ、今まで先輩等にダメと言われていた表現も、実はOKだったりして、やはり特許翻訳に正解はない、という結論に達し、安心しました。

セミナーもネットワーキングも、とても楽しく充実していました。新田さん、キャシーさんの細やかな心遣いも嬉しかったです。お疲れ様でした。

(フリーランス特許翻訳者様 女性)

自由に質問できる時間が十分あったのがよかった。

横のつながりも意識した内容が良かった。

合宿所も充実した施設で過ごしやすかった。

(匿名様)

まだまだ勉強が必要なことが多々あることが認識できました。これからの勉強の方向性が少し見えてきたことが成果です。

内容理解、訳語選択、文章構成、法律的配慮などいずれも勉強になりました。時國先生の特許翻訳に対する厳しい姿勢と後進に対する暖かい眼差し、さらに謙虚なお人柄に魅了されました。

参加者の方全員が真剣に講義に参加しており、大変有意義なセミナーでした。

(翻訳チェッカー(翻訳修行中)60代男性 HS様)

原文と、英語らしい表現と、特許出願に適した表現との間で板挟みになることが多く、また自分の選択が正しかったのか確かめるすべもなく困っていました。合宿に参加して、具体的な個々の問題を解決しようとする際の指針について考えさせられました。

時國先生が明細書を翻訳する際の思考の一端を垣間見ることができたことは有意義でした。また、最新のツール情報を得ることができました。自分の作業フローとその効率化を定期的に見直す必要性を感じました。

合宿ならではの催しで、他の翻訳者さんとの懇親ができたと思います。半年に1回くらいあってもいいかなと想いました。

(特許翻訳者様 男性)

実務家ではなく翻訳者の立場でできることと、できないことがあることがわかった。できないことは認めて相談すべき。

改めて翻訳者の心構えを確認できた。英語のブラッシュアップも永遠に必要だと思った。収入について踏み込んだ話が聞けたのがよかった。

「英訳文検討会」では、各自が自分の訳文を再検討する時間がたっぷりあったのはよかった。個人的に先生に質問できるのもよかった。ただ、この時間に周りの人ともう少し疑問などを共有すればよかったと反省。

「特許英訳何でも相談会」では、他の人からの質問について聞くことができとても興味深かった。先生が「それはわからない」と答えてくださったのが正直で良いと思った。

「ツール」については使ってみたいと思うものがあったが、実際に自分でやってみるのかが課題。時間的に厳しいかとは思うが、デモでなく一緒に手を動かせればよかったと思う。

とても充実した時間を過ごせました。終始快適で楽しかったです。MPEPの解説の時間がもう少しあると嬉しかったです。(なかなか自分で読み込む時間がないので)。

(特許翻訳者様 女性)

訳文をミスなく仕上げたつもりだったが、和文が悪いから端折っていいだろうと思い込んで原文意図の把握ミスをしていたことに気付かされた。思い込みの怖さを再認識できた。

何でも相談会ではたくさん質問させていただきましたが、それぞれについてお考えを聞かせていただき、大変勉強になりました。

ツールについては、

・クリップボード置換を初めて知った。てっきり置換ダイアログでは書式付きの置換はできないと思っていた。

・USPTO公報データベースの使い方のヒントを得られた。USPTOのAdvancedSearchは、とっつきにくくて、使えていない(前職の特許事務所で誰も教えてくれなかったし、現職の同僚翻訳者数人に聞きいたところ、皆使えていません)。

たくさんの気付きを得られましたし、知り合いも増え、多くのものを持ち帰ることができました。とてもよかったです。

(特許翻訳者様 40代男性)

上記以外では、授業内容に加え、運営面での改善点(たとえば、資料の配布タイミング、懇親会の形式、お酒のタイミング、参加者の事前アンケートのシェアの方法、参加者の翻訳文のシェアの方法など)について様々なご要望・フィードバックをいただきました。どうもありがとうございます。

今後もお役に立てるような合宿を企画していきます。そのときに反映させていきたいと思います。

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