【日記】下調べの功罪?

バングラデシュ旅行での出来事です。

今までの旅行記で何度か登場しているリキシャ。

これはピンときた方がいらっしゃると思いますが、日本の人力車を語源にしているようなのです。

バングラデシュに向かう飛行機の中で読んだ「地球の歩き方」に書いてありました。

あと、もう一つ、この本に書かれていたことがあります。

バングラデシュのリキシャは非常に派手であること。(今、書籍が手元にないので具体的な引用はしておりません)

そのほか、バングラデシュでの交通手段として紹介されていたものがCNG。これは、Compressed Natural Gasの略で天然ガス車のことなのですが、現地では緑色の三輪自動車のことを意味します。

この種の三輪自動車自体がCNGと呼ばれておりました。

さて、私はこれらの知識を使って、さっそく現地でツアー仲間に解説を始めたわけです。

「あれはリキシャといって日本の人力車を語源にした乗り物です。比較的安いので、現地の人の足が割になっているみたい。」

「リキシャって派手できれいですよね。」

途中で気がついたのですが、私はそもそも日本の人力車がどのように装飾されていて、どのように美しい形をしているのか知りもせずに、バングラデシュのリキシャの装飾の派手さを美しいと表現していたわけです。

日本の人力車に比べてどの程度派手なのかもよくわからず。

また、現地の古いリキシャを見ると、「これは、地球の歩き方に載っていた派手なリキシャに比べるとか なり地味だな」とか、「これは、新品だったころは、地球の歩き方に載っていたリキシャみたいにカラフルだったのかな?今は色がはげてしまっているな」なん て、そんなことばかりを思っていました。

結局、目の前のリキシャを見ていると言うよりは、地球の歩き方に載っていたきれいで派手なリキシャを探し続けていました。

実は、「地球の歩き方」に載っていたようなきれいなリキシャには、私がダッカ市内で観光したときのルートでは、あんまりお目にかかりませんでした。

ちょっと不思議ですよね。

下調べをしたために、私にはちょっとした知識がありました。

そしたら、現地で見ているものを自分の感性で楽しむかわりに、「地球の歩き方」を正として、その軸にあう風景を探している自分がいたんです。

なんてことなんでしょうか!?

自分でもだんだんばからしくなって、知ったかぶりの解説は途中でやめました(笑)。

あと、CNGについてもそうなんです。

すでに幾度かバングラデシュに来ていた同行人が、CNGのことを車の名前だと説明していたんです。で、CNGをガソリン車だと思っていたんですね。

「あれは天然ガスで走っている自動車で、CNGとは天然ガスのことですよ。」

なんて、私はまたしても知ったかぶりの解説をしてしまいました。

CNGが車の名前というのはあっていますし、そこに間違いはなかったのですが、ガソリン補給をするわけではないので、その点をどうしても教えてあげたくなってしまい。。。

彼がCNGが自動車の名前だと思う理由ははっきりとありました。

どの緑色の三輪自動さにも、車のリア側にCNGと書かれているんですよね。彼はよく車を観察していただろうし、現地の人がどうその車を呼んでいるのかを聞いていたんですよね。

ここで、「下調べの功罪?」のテーマに戻ります。

私の場合、下調べをせずにバングラデシュ入りしたので、見えるものすべてが新鮮で何かと疑問がわいていろいろと観察をし続けていました。それは、前回の記事「理由がないと落ち着かない」に書いたとおりです。

でも自分が下調べをしたものについては、ほとんど目の前のものを見ていませんでした。

見たとしても、自分の知識というフィルターにあったものを見ようとしてしていたのですよね。これ、本当にびっくりするような出来事でした。

ひるがえって、私の仕事である翻訳業でのことに絡めますと、予備知識や下調べが自分の理解を邪魔することもあるんだなと実感したわけです。

「対象となる技術分野の専門家よりも専門家ではない翻訳者の方が、偏見のない目で読むことができるので、内容を正確に把握できることがありうる」、という ようなことをうかがったことがあります。(絶対的なことを言っているわけではなく、こういうこともあり得るというニュアンスのことです)

まさしくこのことですよね。

専門知識も当然必要ですが、時としてその知識による先入観で目の前に書かれていることを正確に読み取れないこともあり得る、ということは肝に銘じておきたいと思いました。

最後に。

やっぱりサープライズや感動は自分の期待を超えるところにあります。

現地の方々が使うレストランで食事をしたときのこと。

ご飯の注文のときにふつうのごはんか焼きめしかを聞かれたので、焼きめしを頼みました。

そしたら、出てきたのが、お皿にこんもりと盛られたご飯の山。そして一緒に運ばれてきたマトンカレー。

おいおい、こんなにたくさんのご飯を食べられないよ、と思いながら、案内してくれたバングラデシュ人と同じように右手でご飯をつまむと。。。

むむっ?何かがある!

そうなんです。

これはバングラデシュ料理で、炒めたご飯の中に野菜やゆで卵、手羽先などが埋め込まれたものなのです。

見た目はそんなに美しくもなんともないのですが(お皿に大盛りご飯の山があるだけですから)、ご飯の味もおいしいし、中から具材がざくざく出てくる驚きとうれしさは格別でした。

そして、それを私たちにさりげなく紹介してくれた方に感謝。

これこそ、下調べをしなかったからこそ得られた全身で感じた喜び!

バングラデシュ旅行

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