【書籍紹介】速度と効率10倍アップ 実務翻訳者のためのWordマクロ 基礎の基礎

前回記事につづいて、マクロの記録を徹底的に解説したマクロ解説書の紹介です。

速度と効率10倍アップ 実務翻訳者のためのWord マクロ 基礎の基礎

こちら に紹介されている電子書籍です。

内容紹介。かなり長文のレビューですね。

この本は、私の師匠である水野麻子さんが書いたものなので、私にとってはすごく理解しやすいものでした。

その分、「わかる、わかる、そうだよね」のコメントが繰り返されています。

そういう背景を踏まえて、お読みください。

「自分で作るWordマクロ(1)(2)」とは違うのか?

先日、「自分で作るWordマクロ(1)(2)」を紹介いたしました。

この「自分で作るWordマクロ(1)(2)」と本書は、違うのか?

これが一番気になりますよね。結論「違います。」

どう違うかというと、本書は「実務翻訳者のため」と銘打っているだけあって、翻訳者の実務にあわせた「思考方法」にも触れられている点です。

例題も、実務翻訳者であれば遭遇するようなものが掲載されています。

ただし、「自分で作るWordマクロ(1)(2)」と同じ内容も当然入っています。

おそらく、本書は「自分で作るWordマクロ(1)(2)」の読者でなくてもわかるように解説されている(と僕は思うのですが)ために、マクロの基礎の説明部分(マクロの自動記録方法など)は重複せざるを得ないからだと思います。

「自分で作るWordマクロ(1)(2)」で詳細に記載されていることが、本書では書かれていないこともあります。

例えば、「自分で作るWordマクロ(1)」に書かれているマクロをツールバーに登録する方法は、本書では書かれていません。

じゃあ、買いか?という点ですが、「買い」でしょう。

ワードマクロを使って実務翻訳を効率化させたいと本気で思っている方にとっては、本書は非常に安い投資だと思います。

なぜなら、

  • 「マクロの記録」機能を使ったワードマクロ作りの詳細な解説が、マクロの独学のとっかかりとして役立つ
  • 「特許翻訳者」水野麻子さんの思考パターンを追体験できる

からです。

だから、実務翻訳者の方にとっては、マクロも学べて、かつ業界でトップクラスの翻訳実績のある水野麻子さんの思考に触れられるという点で、一粒で二度おいしい、大変価値のある一冊だと思います。

以下、読んでみて面白いなと思った点を簡単に紹介します。

翻訳者としてどうやって仕事を効率するのか?という視点

あくまでも、「どうやって仕事を効率するのか?」という問いがあった上で、じゃあ、ワードのマクロを「手段」としてどう使っていくのか?が書かれていると思います。

マクロを使うこと、マクロを作ることが目的にならないようにするのは、自分でマクロを作っていく上で重要な視点だと思います。

私は、この点をよく間違えますから、気をつけたいと思っています。

私の場合、「1件の明細書翻訳で1回しか出ない作業(数十秒)を自動化させるマクロ」を作成するのに、数時間もかけてしまうことがあります(笑)。

あんまり費用対効果よくないですよねぇ。。。

私の場合、マクロ作りが趣味のようなもので、作っていること自体が楽しみなので、それはそれでいいのですが。

マクロ以外の「別の手段」のヒントもあり

日本語変換ソフトのMS-IMEをATOKに変えるだけで、業務効率アップって信じられますか?

こちら でも水野麻子さんが少し紹介しているんですが、ATOKいいですよ。

私も、翻訳学校に通っているときに水野麻子さんから紹介いただきましたが、値段が高いので躊躇して買えませんでした。

ようやく買ったのは紹介いただいてから1年くらいしたところでした。

数ヶ月使った感触では、「日本語の入力効率が上がる」と断言できます。

もっと早く買えばよかった。何にも努力しないで文字の入力スピードが上がります。これが一番重要。

業務効率(翻訳スピード)は、「文字入力のスピード」としても評価できますね。

その場合には、ATOKを使うだけで、翻訳スピードが上がったことになります。

「マクロありき」の発想ではなくて、目的を達成するための適切な手段を選べるようにする視野の広さは大切だと思います。

スピードと品質(P6)

上記のところでも触れましたが、どうやってスピードを上げるかが大切ですね。

やり方によってはスピードと品質を同時に向上させることは可能。

そんな「思考方法」にも触れられています。

あと、関連しますが、「何のスピードを上げたいのでしょうか?(P3)」も大好きな質問です。

水野麻子さんの私塾で、よく話を聞きました。日常の仕事で応用できる考え方です。

そういえば、最近発売された水野麻子さんの著書「語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ」でも同じような視点が紹介されていましたね。

具体例が豊富

私は、マクロを作成することも、業務効率を上げることも「思考方法」が大切だと思っています。

本書には、特定の目的のために、「マクロの記録」機能を使ってプログラムを作るまでの
工程がそのまま記載されています。

水野麻子さんからうかがったのですが、これはご本人の試行錯誤をベースにかかれたものだそうです。

これが何を意味するのか?ですね。

つまり、私たちは、この資料の例題を読むことで、「特許翻訳者」の水野麻子さんの思考方法を追体験できるというわけです。

「特許翻訳」に限らず、「翻訳」では、「調べもの」を効率的にかつ正確に行って自分の翻訳に反映させることが大切だと思います。

このマクロで壁にぶつかった「特許翻訳者」の水野麻子さんが、どうやって問題を解決していくのか?を知ることができます。

これは、マクロを学ぶことに加えて、翻訳者の皆様にとって非常に面白い体験だと思います。

「適当にあたりをつけて探す」方法(P67)

「適当にあたりをつけて探す」方法について、本書では、「実現したい機能をどう記述すればよいか分からないときには、関連しそうな『単語』を順にあたっていくのです。」

と書かれています。

まさしくこの通りですね。

水野麻子さんから、ワードマクロを学び始めた当初は、私はこの考え方になじめませんでした。

「わかっているからこそ、関連しそうな『単語』を発想できるんでしょ?自分には無理です。」

くらいに思っていたこともあります。

でも、1年半くらいマクロを作り続けてわかったことは、「関連しそうな『単語』」からコードの記述を探すのは、やっぱり大事だということです。

今は、この大切さやアプローチの有用性を本当に実感しています。

文字コード(P71)

ここまで理解して問題解決に当たるのか?と頭が下がります。

プロ意識全開の記述は面白いです。

ちょうど先日、こちらの本もぱらぱらと見ていたのですが、

柳英夫さんも非常に深い理解のもと、翻訳作業を捕らえられている方だと思います。

「文字コード」についてP97からの記事に少し書かれています。

あわせて読むと、もう少し理解が深まります。

どうやって問題解決したのか?(P82)

本書には、マクロを実行したときの「ギリシャ文字の文字化け」について対処する

試行錯誤が書かれています。

これをどうやって解決したのかが興味深いところです。

実は、水野麻子さんの「過去の体験」に解決の鍵があったわけです。

詳細は、本書を読んでからのお楽しみに。

・・・・・・水野麻子さんの「過去の体験」が問題解決の鍵?

・・・・・・これ、私たちに応用できると思いますか?

私はできると思います。

私たちの仕事に応用できるすごく大きなヒントだと思ったから、印象に残っています。

おそらく、私たちがこれからマクロを作ったり翻訳作業をしたり、日々の仕事をしたりしてぶつかる壁というのは、どんなものであっても自分の体験の延長にあると思います。

または、自分の等身大の課題だと思っています。

だからこそ、私たちの過去の体験も含めて、自分が手を伸ばせば届く範囲に解決策はころがっているんだと思います。

なんとなくイメージで言うと、「私が自分の部署の書類作成の効率化」のマクロを作るうえで壁にぶつかったとして、これを解く鍵は「部署のLANネットワークの特徴」、「関連部署との力関係に基づく業務フロー」、「同僚のあの一言」、「書類作りのくせ(長年の経緯による)」などかもしれません。

これは、当事者の私にはわかるけど、他の人にはわからない解決の鍵だと思います。

おそらく、私の職場で働いていない水野麻子さんにもわからないだろう、と思います。

ということは、私たちは、水野麻子さんが解決に使った「ひらめき」に対して、自分が同じことをひらめかないと言って、「自分にはできない」と考えてしまう必要はないですよね。

自分ではすごく納得しているんですが、伝わるかなあ。

というわけで、「理詰め」で探した後に「過去の体験」をふと思い出したという解決のエピソードってすてきだなと思いました。

Private Subや引数(ひきすう)の解説

「自分で作るWordマクロ(1)(2)」では書かれていない点です。

引数については、今後このブログで触れるかもしれませんが、便利な機能です。

最後に、「自分で体験することが大切だと思います。」

おそらく、本書を読んだだけで、ワードマクロ初心者の方がすぐに内容を十分に理解することは難しいと思います。

なんとなくわかるかもしれないけど、それを自分で応用するところまでの理解には到達しないのでは?と思います。

ぜひ、「マクロの記録」機能を使って自分でプログラムを書いて、プログラムを動かしながら、何度も繰り返して読む・体験することをお勧めします。

本書はPDFファイルです。両面印刷にしてキンコーズなどで「リング製本(500円くらい)」するといいと思います。

こうすればページを開きっぱなしにできるので、本書の内容を確認しながら、ワードの操作ができます。

以上、思いつくままに雑感を書いてみました。

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